男性更年期障害とは?症状・原因・治療法を解説|蕨市蕨駅・西川口駅の内科・循環器内科|わらび内科・循環器内科クリニック

〒335-0002 埼玉県蕨市塚越5丁目6-35イオンタウン蕨内クリニック 駐車場目の前
TEL.048-229-9777
WEB予約
WEB予約 アクセス LINE
ヘッダー画像

医療コラム

男性更年期障害とは?症状・原因・治療法を解説|蕨市蕨駅・西川口駅の内科・循環器内科|わらび内科・循環器内科クリニック

「最近わけもなくイライラする」「やる気が出ない」「疲れが取れない」

そんな不調が続くとき、それは加齢によるものだと思われがちですが、実は男性更年期障害が関係しているケースが少なくありません。更年期障害というと女性特有の悩みだと思われがちですが、男性にも同じように起こることが医学的にわかっています。この記事では、男性更年期障害の症状や原因、治療法についてわかりやすく解説します。

男性更年期障害とは?

男性更年期障害は、医学的には「加齢男性性腺機能低下症候群」と呼ばれ、英語では「LOH症候群(Late-Onset Hypogonadism)」と表記されます。簡単にいうと、男性ホルモン(テストステロン)が加齢とともに少しずつ減っていくことで、心と体にさまざまな不調が現れる状態のことです。

女性の更年期障害は閉経前後の数年間でホルモンが急激に減少するため症状が強く出やすいのに対して、男性の場合はホルモンの減少がゆるやかに進むため、本人も周囲も「歳のせい」と見過ごしてしまいがちです。しかし、強いストレスや生活習慣の乱れが引き金となって、比較的急にテストステロンが低下し、症状が現れることもあります。

日本泌尿器科学会と日本Men’s Health医学会が策定した診療の手引きでも、男性更年期障害は年齢に関わらず起こりうる病気として位置づけられており、40代・50代だけでなく30代で発症する方もいます。

男性更年期障害の症状とは?セルフチェックリストで確認しよう

男性更年期障害の症状は非常に幅広く、体の症状・心の症状・性機能の症状の3つに分けて考えるとわかりやすくなっています。以下のような症状に心当たりがある場合は、一度セルフチェックをしてみましょう。

身体的な症状

  • 強い疲労感が続き、休んでも回復しない
  • 関節や筋肉の痛み、肩こり
  • ほてりや発汗、寝汗
  • 不眠、眠りが浅い
  • 頭痛、めまい、耳鳴り
  • お腹まわりに脂肪がつきやすくなった

精神的な症状(イライラ・不眠など)

男性更年期障害でとくに周囲を悩ませやすいのが、精神面の変化です。理由もなくイライラして家族や職場の人に強くあたってしまう、気分の落ち込みが続く、集中力が続かない、といった変化が見られます。本人に自覚がないまま、うつ病やパワハラ・モラハラと誤解されてしまうケースもあるため注意が必要です。

性機能に関する症状

性欲の低下や勃起力の低下、朝の勃起が減るといった変化も、男性更年期障害の代表的なサインのひとつです。テストステロンは性機能だけでなく、意欲や活力そのものに関わるホルモンであるため、性機能の変化は体全体からのサインとして捉えることが大切です。

セルフチェックの目安

医療現場では「AMSスコア(Aging Males’ Symptoms スコア)」という、17項目の質問に自己回答する国際的な評価方法がよく使われます。心理面・身体面・性機能面の症状をそれぞれ5段階で評価し、合計点が26点以下であれば正常、27〜36点で軽度、37〜49点で中等度、50点以上であれば重度の症状があると判定されます[1][2]。ただしこのスコアはあくまで症状の傾向をつかむための目安であり、スコアが高くないからと言って更年期障害を否定することはできません[1]。

何科を受診すればいい?病院選びのポイント

男性更年期障害かもしれないと感じたとき、どの診療科を受診すればよいか迷う方は多いのではないでしょうか。男性更年期障害は主に泌尿器科やメンズヘルス外来、男性更年期外来で診断・治療が行われます。疲労感やイライラ、動悸、不眠といった全身症状が強い場合は、内科でまず全身状態をみてもらう必要もあります。特に、内臓脂肪の増加や生活習慣病を併発しているケースでは、内科での全身管理が重要になることも少なくありません。

受診の際には、血液検査でテストステロン値を測定することになります。日本の診療の手引きでは、血中の総テストステロン値が250ng/dL以下、または遊離テストステロン値が7.5pg/mL未満の場合に男性ホルモンの低下があると判断され、症状もあわせて男性更年期障害(LOH症候群)と診断されます[1]。検査は男性ホルモンの値が高い午前中に採血するのが一般的です。

男性更年期障害の治療法

治療は、症状の程度や血液検査の結果に応じて段階的に検討されます。ここでは代表的な3つのアプローチを紹介します。

ホルモン補充療法

注射や塗り薬でテストステロンを補うホルモン補充療法(テストステロン補充療法)が行われることがあります。基本的には2〜4週間に1回、筋肉注射でホルモンの補充を行います。

さらに、生活習慣の改善とホルモン補充療法を組み合わせることで、筋肉でのエネルギー代謝が改善するという報告もあり、生活習慣の見直しと並行して行うことの重要性が示されています[7]。

ただし、肝機能障害・多血・睡眠時無呼吸症候群の悪化・ニキビ・無精子症といった副作用の可能性、またホルモン補充療法は前立腺の病気がある方には行えない場合があるため、必ず医師の診察・検査のもとで慎重に判断する必要があります。

漢方薬による治療

ホルモン補充療法の対象とならない軽度の症状の場合や、症状を和らげる目的で、漢方薬が用いられることもあります。イライラや不眠、冷え、精神的な不安定さといった症状に対して、体質や症状に合わせて漢方薬が選択されることがあります。

サプリメントは効果があるのか

亜鉛やビタミンD、DHEAなどを含むサプリメントが「男性ホルモルを増やす」とうたわれて販売されていますが、これらは治療薬ではなく栄養補助食品であり、医薬品のような効果が科学的に確立されているわけではありません。栄養バランスの乱れがある方にとっては体調を整える一助にはなり得ますが、症状が強い場合や検査で明らかなホルモン低下が確認された場合は、サプリメントに頼るのではなく、医療機関での検査・治療を優先することが望ましいといえます。

イライラ・怒りっぽさへの対処法

男性更年期障害の中でも、「些細なことでキレてしまう」「感情のコントロールが難しい」という悩みを抱える方は多くいます。これは気分の落ち込みや不安と同様に、テストステロンの低下が脳や自律神経に影響を与えることが一因と考えられています。対処法としては、次のようなことが役立ちます。

  • 睡眠時間を確保し、生活リズムを整える
  • 軽い有酸素運動や筋力トレーニングを習慣にする
  • アルコールの摂取量を見直す
  • ストレスの原因になっている状況を、家族や職場と共有し一人で抱え込まない
  • 症状が続く場合は、感情の問題として片づけずに医療機関で相談する

感情の波は本人の性格の問題ではなく、ホルモンバランスの変化による体の反応であることを理解するだけでも、本人・周囲双方の負担が軽くなることがあります。

発症しやすい年齢は?何歳から注意すべきか

男性更年期障害は、一般的に40代〜50代で発症しやすいとされていますが、これは女性の更年期のようにはっきりとした年齢の目安があるわけではありません。加齢に伴うテストステロンの低下はゆるやかに進行するため、30代で症状が現れる方もいれば、60代・70代になってから自覚する方もいます。

特に、強いストレスや過労、睡眠不足、急激な体重増加などが引き金となって、比較的若い年代でもテストステロンが急激に低下し、症状が強く出ることがあるため、「まだ若いから関係ない」と思い込まず、気になる症状があれば年齢を問わず相談することが大切です。

生活習慣でできる改善策

テストステロンの分泌は、生活習慣と密接に関わっています。治療とあわせて、日常生活の中でできる改善策も重要です。

  • 運動習慣:筋力トレーニングや有酸素運動は、テストステロンの分泌を促し、内臓脂肪の減少にもつながります
  • 睡眠:テストステロンは主に睡眠中に分泌されるため、睡眠不足はホルモン低下を助長します
  • 食生活:タンパク質や亜鉛、ビタミンDを含む食品をバランスよく摂ることが望ましいとされています
  • 体重管理:内臓脂肪の増加はテストステロンを分解する酵素の働きを高めてしまうため、体重管理は重要な対策のひとつです
  • ストレスケア:慢性的なストレスはホルモンバランスに悪影響を及ぼすため、リラックスできる時間を意識的に作ることも大切です

実際に、肥満と男性ホルモン低下を合併した高齢男性を対象にした研究では、生活習慣の改善とホルモン補充療法を組み合わせることで、体のエネルギー代謝に前向きな変化がみられたことが報告されています[7]。生活習慣の見直しは、治療の効果を高めるうえでも重要な役割を果たしています。

まとめ

男性更年期障害は、加齢とともに男性ホルモンが低下することで、体・心・性機能にさまざまな不調が現れる誰にでも起こりうる病気です。「歳のせい」「性格の問題」と片づけず、疲労感やイライラ、気分の落ち込みが続く場合は、一度医療機関で相談してみることをおすすめします。血液検査でホルモンの状態を確認したうえで、生活習慣の改善やホルモン補充療法など、自分に合った対策を見つけていくことが、心身の不調を改善する第一歩になります。


参考文献

  1. 日本泌尿器科学会・日本Men’s Health医学会「LOH症候群診療ガイドライン」策定ワーキング委員会編:加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)診療の手引き
  2. Heinemann LAJ, et al. A new “Aging Males’ Symptoms” rating scale. Aging Male. 1999.
  3. Systematic Review of the Impact of Testosterone Replacement Therapy on Depression in Patients with Late-onset Testosterone Deficiency. European Urology Focus. 2018.
  4. Giltay EJ, Tishova YA, Mskhalaya GJ, et al. Effects of testosterone supplementation on depressive symptoms and sexual dysfunction in hypogonadal men with the metabolic syndrome. J Sex Med. 2010;7(7):2572-2582.
  5. Yu X, Wei Z, Liu Y, Zhang X, Wang Q. Effects of Testosterone Replacement Therapy on Glycolipid Metabolism Among Hypogonadal Men with T2DM: A Meta-Analysis and Systematic Review of Randomized Controlled Trials. Sex Med. 2021.
  6. Testosterone Replacement Therapy in Men Aged 50 and Above: A Narrative Review of Evidence-Based Benefits, Safety Considerations, and Clinical Recommendations. 2025.
  7. Testosterone plus lifestyle therapy improves skeletal muscle glycolysis in older men with obesity and hypogonadism (LITROS trial).

本記事の医療監修
髙橋 剛士(わらび内科・循環器内科クリニック 院長)
総合内科専門医・循環器内科専門医

医療免責事項
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としたものであり、個別の診断や治療方針を保証するものではありません。症状に心当たりのある方は、自己判断で対処せず、必ず医療機関を受診し、医師の診察を受けてください。

TOP