【医師監修】GIP/GLP-1受容体作動薬の副作用まとめ|頻度・期間・対処法を解説|蕨市蕨駅・西川口駅の内科・循環器内科|わらび内科・循環器内科クリニック

〒335-0002 埼玉県蕨市塚越5丁目6-35イオンタウン蕨内クリニック 駐車場目の前
TEL.048-229-9777
WEB予約
WEB予約 アクセス LINE
ヘッダー画像

医療コラム

【医師監修】GIP/GLP-1受容体作動薬の副作用まとめ|頻度・期間・対処法を解説|蕨市蕨駅・西川口駅の内科・循環器内科|わらび内科・循環器内科クリニック

現在、マンジャロGIP/GLP-1受容体作動薬は糖尿病や肥満症の新たな治療薬として世界中で注目されています。特にSURMOUNT試験シリーズで、他のリベルサス®GLP-1受容体作動薬 内服薬ウゴービ®GLP-1受容体作動薬 注射薬と比較しても圧倒的な体重減少効果を示しました。

(詳しくはこちらをご参照下さい:医療コラム「【2025年最新版】 GIP/GLP-1受容体作動薬が最も痩せる!他薬剤との比較」

しかし効果が高い反面、副作用のリスクについて不安を感じる方も多いのではないでしょうか?「いつから」「いつまで」続くのか、脱毛うつのような噂は本当なのか、気になっている方も多いと思います。

今回は、実際によく寄せられるご質問をもとに、副作用の種類・出現時期・持続期間・対処法までを、最新の臨床試験データに基づいてわかりやすく解説します。

  • マンジャロGIP/GLP-1受容体作動薬の主な副作用と頻度
  • ✅副作用は「いつから」出て「いつまで」続く?ピークの時期は?
  • ✅「脱毛(はげる・抜け毛)」「うつ・精神的な変化」との関係は本当?
  • ✅重篤な合併症の発生率はどのくらい?腎臓への影響は?
  • リベルサス®GLP-1受容体作動薬 内服薬ウゴービ®GLP-1受容体作動薬 注射薬との比較
  • ✅副作用を軽くするための具体的な対処法

マンジャロGIP/GLP-1受容体作動薬とは?GLP-1とGIPの”デュアル作動薬”

この薬は米国イーライリリー社が開発した週1回皮下注射型の糖尿病・肥満症治療薬で、2022年に米国FDAに承認されました。日本では糖尿病にのみ適応となっておりますが、海外では肥満症や睡眠時無呼吸症候群にも適応となっております。

従来のリベルサス®GLP-1受容体作動薬 内服薬ウゴービ®GLP-1受容体作動薬 注射薬と異なり、GIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)受容体GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)受容体の両方に作用する「デュアルインクレチン作動薬」です。

GLP-1受容体

  • 食欲を抑える(脳の摂食中枢に作用)
  • 食物の排出を遅らせる(満腹感を長く維持)
  • インスリン分泌を促進、グルカゴン分泌を抑制

GIP受容体

  • 食後のインスリン分泌をさらに強化
  • 脂質代謝改善、インスリン感受性の向上
  • GLP-1による吐き気を緩和する可能性も報告

この2つの作用により、従来薬よりも体重減少効果・血糖コントロール効果ともに優れていると考えられています。一方で、胃の働きをゆっくりにする作用があるため、消化器症状を中心とした副作用が出やすいという側面もあります。

副作用は?SURMOUNT試験からの統合データ

マンジャロGIP/GLP-1受容体作動薬に多く見られる副作用は、消化器症状(吐き気・下痢・便秘など)です。以下は、SURMOUNT 1〜5試験の統合データから導かれた代表的な副作用の頻度と特徴です。

🔎【SURMOUNT-1〜5試験】統合データに基づく副作用一覧

副作用の種類

発生頻度(%)

備考

吐き気

約21%

初期に多いが多くは自然に軽快

下痢

約18%

多くは軽度・一過性

便秘

約12%

食事・運動で改善する例が多い

嘔吐

約9%

吐き気と並行して発現

食欲減退

約10%

減量効果と関連。過度な場合は注意

胃部不快感

約8%

膨満感や胃もたれなど。多くは軽度

 

約2割程度に消化器症状の副作用を認めることがわかります。これらは多くは一過性であり大きな心配はありません。

このほか、添付文書の「その他の副作用」には、頭痛・めまい・倦怠感(だるさ)・眠気といった全身症状や、注射部位の発赤・腫脹・そう痒感(かゆみ)といった局所反応も報告されています。注射部位反応の頻度はEMA(欧州医薬品庁)の情報で1〜10%未満、FDAの情報では約3%程度とされ、いずれも軽度で自然に治まることがほとんどです。発熱や強い寒気を伴う場合は、感染症など他の原因も考えられるため医療機関にご相談ください。

副作用は「いつから」出る?ピークはいつ?

副作用についてのご質問を非常に多くいただきます。マンジャロGIP/GLP-1受容体作動薬は週1回の注射薬のため、血中濃度が上昇する投与後24〜48時間ごろに吐き気や胃の不快感が出やすい傾向があります。

副作用のピークは、治療開始直後、あるいは用量を増やした(増量した)直後の数日間〜1週間に訪れることが一般的です。これは、少量(2.5mg)から開始し、4週間ごとに段階的に増量していく用法によるもので、増量のたびに軽い波のように症状が出て、その後落ち着くという経過をたどる方が多くみられます。

副作用は「いつまで」続く?

多くの方では、消化器症状は数日〜数週間(目安として2〜4週間程度)で体が慣れて軽快していきます。ただし「ピークを過ぎれば必ず治る」というものではなく、個人差があります。

次のような場合は、単なる副作用の遷延ではない可能性があるため、我慢せず早めに医療機関にご相談ください。

  • 水分すら摂れないほどの嘔吐・下痢が続く
  • 背中に響くような強い腹痛がある(急性膵炎の可能性)
  • 右上腹部の痛みや黄疸がある(胆石・胆嚢炎の可能性)
  • 冷や汗・動悸・意識が遠のくような症状がある(低血糖の可能性)

副作用が出やすい人の特徴

個人差はありますが、以下のような方は副作用がやや出やすい傾向があると報告されています。

  • 用量の増量ペースが速い方
  • もともと胃腸が弱い方・便秘や下痢を起こしやすい体質の方
  • 水分摂取が少ない方、アルコールを多く摂る方
  • 高齢の方、腎機能が低下している方(脱水の影響を受けやすいため)
  • 他の血糖降下薬(インスリン製剤・スルホニルウレア剤等)を併用している方(低血糖のリスク)
  • 基礎疾患の多い方

該当する項目がある方は、事前に医師へお伝えいただくことで、より安全な用量調整が可能になります。

また、BMI<23の方については臨床試験において使用されていないため安全性の検証がされていません。肥満のない方への安易な投与は避けるべきです。

マンジャロGIP/GLP-1受容体作動薬で「脱毛(はげる・抜け毛・薄毛)」は起こる?

「抜け毛が増えた」というお声も時々頂きます。結論から言うと、マンジャロの成分自体が毛根に直接ダメージを与えるという明確な医学的根拠は、現時点で確認されていません。日本の添付文書にも「脱毛」は主要な副作用として明記されていません。

ただ、急激な体重減少や食事量の低下に伴う一時的な栄養不足(鉄・亜鉛・タンパク質・ビタミンD不足など)やストレスによって毛周期が乱れ、「休止期脱毛症」と呼ばれる状態が起こるためと考えられています。これは急激なダイエット全般に共通するリスクであり、マンジャロに限った現象ではありません。

休止期脱毛症は、通常一過性で、体重や栄養状態が安定すれば自然に回復するケースがほとんどです。予防・対策としては、次のような点を意識していただくと良いでしょう。

  • タンパク質・鉄・亜鉛・ビタミンDを意識した食事を心がける
  • 極端な食事制限を避け、栄養バランスを保ちながら減量する
  • 抜け毛が続く、または急に増えたと感じる場合は自己判断せず医師に相談する

マンジャロGIP/GLP-1受容体作動薬と「うつ・精神的な変化」の関係

現時点で、添付文書に「うつ病」や「抑うつ状態」が直接的な副作用として明記されているわけではありません。国内外の臨床試験データにおいても、マンジャロの投与と精神疾患との間に明確な因果関係を示すエビデンスは確立していないのが現状です。

一方、製薬企業が公開している適正使用情報では、2型糖尿病患者はもともと抑うつ症状の有病率が高いことを踏まえ、臨床試験において大うつ病性障害や自殺念慮を「注目すべき有害事象」として観察していたことが示されています。一部の試験では、うつ病や抑うつ気分を伴う適応障害の発現が報告されていますが、いずれも軽度〜中等度で非重篤とされています。

気分の落ち込みや意欲の低下を感じる場合、その背景には次のような間接的な要因が関わっている可能性も指摘されています。

  • 吐き気や倦怠感など体調不良そのものによる気分の落ち込み
  • 低血糖に伴う一時的な不調
  • 食欲低下・急激な体重減少や生活の変化によるストレス

症状が続く、または日常生活に支障が出ている場合は、一人で抱え込まず、処方医または心療内科・精神科に早めにご相談ください。内科と精神科が連携することで、安全に治療を継続できるケースも多くあります。

重篤な副作用や死亡リスクはある?今までの試験結果の統合解析

副作用の大半は軽度〜中等度であり、重篤な合併症の頻度は極めて低いとされています。今までの臨床試験で認められた重篤な副作用についてを以下にまとめました。

【SURMOUNT-1〜5全体における重篤な副作用】

合併症

発生頻度

コメント

急性膵炎

0.2〜0.3%

GLP-1系薬共通の注意点

胆石症・胆嚢炎

0.3〜0.5%

急速な体重減少との関連

入院を要する消化器症状

0.1〜0.2%

嘔吐・脱水など

低血糖(他剤併用時)

0.4〜1.1%

他の糖尿病薬(SU薬・インスリン)併用時

心血管イベント(MACE)

有意差なし

プラセボ群と同等、むしろ改善傾向

薬剤の普及につれ徐々に副作用出現についても解析が進み、用量を調整しながら投与を行えば比較的副作用の発現を少なくできる可能性が高いことがわかってきました。

本薬剤単独での低血糖のリスクは低く、また心血管イベントについては2025年心不全ガイドラインでも投与すべき薬剤として推奨されています。(詳細はこちら:医療コラム「心不全は治療から予防へ」

腎臓への影響は?

マンジャロGIP/GLP-1受容体作動薬そのものに腎臓へ直接ダメージを与える作用は確認されておらず、添付文書上も透析を含む重度の腎機能障害を「禁忌」とはしていません。薬物動態上、腎機能が低下していても大きな影響は少ないとされています。

注意すべきは、激しい嘔吐や下痢による脱水から二次的に腎機能が低下するケースです。特に高齢の方や利尿薬を使用中の方、もともと慢性腎臓病がある方は、脱水による急性腎障害のリスクが高まるため注意が必要です。尿量の減少やむくみを感じたら、早めに医療機関にご相談ください。

SURMOUNT-5試験(最新試験)での安全性データ

SURMOUNT-5試験では、GIP/GLP-1受容体作動薬の投与にて平均20.1%の体重減少という驚異的な成果が報告されました。主な副作用は以下の通りでした。

主な副作用頻度(SURMOUNT-5)

  • 吐き気:5%
  • 下痢:3%
  • 嘔吐:9%
  • 便秘:6%
  • 食欲減退:8%

重篤な副作用は以下の通りです。

  • 重篤な副作用(SAE)は8%(主に胆嚢疾患や脱水による入院)
  • 治験中の死亡例:1例(本薬剤投与との因果関係なし)

GIP/GLP-1受容体作動薬の投与が直接の原因となって死亡した方は1名もいませんでした。

長期的にみた「将来」のリスクは?

現時点までの臨床試験・市販後のデータでは、適切な用量調整のもとで使用した場合、重篤な合併症や死亡例はごくわずかであり、長期使用による深刻な安全性シグナルは確認されていませんむしろ心血管イベントについては改善傾向が示されています。

なお、非臨床試験(ラットを用いた長期がん原性試験)において甲状腺C細胞への影響が確認されており、GLP-1系薬剤に共通の注意事項として、甲状腺髄様癌の既往やその家族歴がある方には投与を避けることとされています。ヒトでの因果関係は確立していませんが、該当する方は必ず事前に医師へお伝えください。今後も市販後調査を通じて長期的な安全性の確認が続けられています。

他のリベルサス®GLP-1受容体作動薬 内服薬ウゴービ®GLP-1受容体作動薬 注射薬との副作用比較

リベルサス®GLP-1受容体作動薬 内服薬ウゴービ®GLP-1受容体作動薬 注射薬と比較し、重篤な副作用発現率は大きな差はありませんでした比較的軽度な消化器症状(嘔気・下痢等)については若干、マンジャロGIP/GLP-1受容体作動薬にて多い結果でした。

薬剤名

吐き気

下痢

嘔吐

膵炎

胆嚢疾患

死亡率

マンジャロGIP/GLP-1受容体作動薬

高(〜21%)

高(〜18%)

〜9%

0.2〜0.3%

0.3〜0.5%

0.1〜0.2%

ウゴービ®GLP-1受容体作動薬 注射薬

中(〜18%)

中(〜15%)

〜7%

〜0.2%

〜0.3%

0.1%以下

リベルサス®GLP-1受容体作動薬 内服薬

やや軽度(〜15%)

軽度(〜10%)

〜5%

〜0.1%

〜0.1%

0.05〜0.1%

副作用を軽くするための対処法・工夫

症状別に代表的な工夫をまとめました。

  • ✅吐き気・胃部不快感:脂っこい食事や食べ過ぎを避け、少量ずつゆっくり食べる。炭酸飲料・アルコールも控えめに。
  • ✅下痢:水分・電解質をこまめに補給し、消化の良い食事を心がける。
  • ✅便秘:食物繊維と水分摂取を増やし、適度な運動を取り入れる。
  • ✅頭痛・倦怠感・眠気:十分な休息と水分補給を意識し、症状が強い場合は鎮痛剤の使用も医師に相談。
  • ✅低血糖症状(冷や汗・ふらつき等):糖分を含む飲食物をすぐに摂取し、繰り返す場合は医師に相談。

症状が強い、長引く、または上記で改善しない場合は、我慢せず早めに処方医に相談することが、安全に治療を継続する一番のポイントです。用量は自己判断で増減せず、医師の指示通りに段階的に増量する。

まとめ|副作用はあるが、安全に使える薬

マンジャロGIP/GLP-1受容体作動薬は強力な減量効果と糖代謝改善効果を持つ薬剤であり、副作用のほとんどが軽度かつ一過性のものです。脱毛やうつのような変化についても、薬剤自体の直接作用というより、急激な体重減少や体調変化に伴う間接的な影響である可能性が高いとされています。

SURMOUNT-1〜5試験において、重篤な副作用や死亡例はごくわずかで、適切に管理されれば安全に使用できる薬剤であることが示されています。

経験豊富な医師のもとで、用量調整・副作用モニタリングを適切に行えば、非常に効果的かつ安全な治療が可能と言えるでしょう。

当院では上記に精通した専門医が診察・治療を行います。なかなか体重が減らなくてお悩みの方、副作用が心配な方、脱毛や気分の変化が気になっている方もお気軽にご相談ください。

【参考文献】

  • Jastreboff AM et al. N Engl J Med. 2022;387(3):205–216.(SURMOUNT-1)
  • Müller TD, Finan B, et al. Nat Rev Drug Discov. 2022;21(3):203–222.
  • Frías JP et al. Lancet. 2023;401(10373):222–231.(SURMOUNT-2)
  • U.S. Food and Drug Administration (2022)
  • Gadde KM et al. Obesity. 2024;32(1):32–44.(SURMOUNT-3/4)
  • Heymsfield SB et al. Obesity. 2025;33(2):204–217.(SURMOUNT-5)
  • 日本イーライリリー株式会社 医療関係者向け適正使用情報
TOP