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医療コラム

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朝、鏡を見たら顔がむくんでいる。夕方になると足がパンパンで、靴下の跡がくっきり残る。「むくみ」は誰にでも起こる身近な症状ですが、いざ続くと「このままでいいのか」「病気ではないか」と不安になるものです。

この記事では、むくみとは何か、なぜ起こるのか、自分でできるチェックと対策、そして「何科を受診すればよいか」まで、内科・循環器内科の医師がまとめて解説します。

むくみとは?

むくみ(医学用語では浮腫・ふしゅ)とは、皮膚の下に余分な水分がたまった状態です。

体の水分は、血管の中と外を絶えず行き来してバランスを保っています。このバランスが崩れて、血管の外にしみ出す水分が回収される水分より多くなると、むくみとして現れます。

体重の約6割は水分です。そのため水分バランスの乱れは体重にも表れます。「食べていないのに数日で2〜3kg増えた」というときは、脂肪ではなく水分がたまっているサインのことがあります。

むくみのセルフチェック

自分のむくみが「水分のたまり」かどうかは、簡単に確認できます。

すねの内側の骨の上を、指で5秒ほどしっかり押してみてください。指を離してへこみが残り、戻るまでに時間がかかるようなら、皮膚の下に水分がたまっている「むくんでいる」状態です。

あわせて、次の点も確認してみましょう。

  • むくみは夕方だけか、朝になっても残っているか
  • 両足か、片足だけか
  • 体重は増えていないか
  • 息切れ・だるさ・尿の変化など、ほかの症状はないか

これらは、受診の際に医師に伝えていただくと診断の大きな手がかりになります。

むくみの主な原因

生活習慣によるむくみ(一時的なもの)

むくみの大半は、病気ではなく生活習慣によるものです。

  • 長時間の同じ姿勢:立ち仕事やデスクワークが続くと、ふくらはぎの筋肉のポンプが働かず重力で足に水分がたまります。夕方に強くなり、翌朝には軽くなるのが典型的なパターンです。
  • 塩分のとりすぎ:塩分をとりすぎると、体は濃度を薄めるために水分をため込みます。外食やラーメン、飲み会の翌朝のむくみは、多くがこのタイプです。
  • お酒:アルコールで血管が広がり水分がしみ出しやすくなることに加え、塩分の多いおつまみが重なって、翌朝のむくみにつながります。
  • 運動不足・筋力低下・加齢:ふくらはぎの筋力が落ちると血液を押し上げる力が弱まります。高齢の方や運動習慣のない方で、座っている時間が長かったりすると足のむくみが起こりやすくなります。

病気が原因のむくみ

一方で、むくみが内臓や血管の病気のサインであることもあります。

  • 心臓:両足のむくみが朝も引かず、体重増加・息切れ・横になると苦しい(起坐呼吸)症状が出ます。早めに医療機関を受診しましょう。
  • 腎臓:足やまぶた・顔のむくみ、尿の泡立ちや尿量が減る場合があります。
  • 肝臓:血液中のタンパク低下により、水分を血管内に止めることができずむくみ、お腹のはれ(腹水)症状が出ます。
  • 甲状腺:押してもへこみにくいむくみ。疲れやすさ・寒がり・体重増加を伴うことが多いです。
  • 静脈・リンパの異常:片足だけのむくみ。急に腫れて痛むときは血栓の可能性があり至急受診しましょう。
  • 薬の副作用:一部の血圧の薬や痛み止めなどでむくむことがある
  • 更年期障害:ホルモンバランスの変化により、むくみ・冷え・だるさが重なることがある

それぞれの病気とむくみの特徴は、関連記事「そのむくみ、病気のサインかも?心臓・腎臓・甲状腺との関係と受診の目安」で詳しく解説しています。

部位別に見るむくみの特徴

  • 足のむくみ・・・最も多いむくみです。夕方に強くなるものは姿勢の影響が中心ですが、朝も引かない・片足だけ・痛みを伴う場合は注意が必要です。詳しくは関連記事

    で解説しています。

  • 顔・まぶたのむくみ ・・・朝に目立ちやすく、多くは睡眠中の姿勢や前日の塩分・飲酒の影響です。ただし、毎朝続く強いまぶたのむくみは、腎臓や甲状腺のチェックをおすすめします。
  • 手・指のむくみ・・・朝に指輪がきつい程度であれば心配の少ないことが多いですが、片方の腕だけがむくむ・しびれを伴う場合は、血管や神経の問題が隠れていることがあります。
  • 全身のむくみ・・・心臓・腎臓・肝臓・甲状腺など、全身に影響する原因で起こりやすいむくみです。体重増加を伴うことが多く、早めの受診・検査をおすすめします。

朝の顔のむくみと夕方の足のむくみ・出る場所と時間の意味

むくみは「重力の影響を受けた、体のいちばん低い場所」に出やすい性質があります。

日中は立ったり座ったりしているため、水分は足にたまり、夕方の足のむくみになります。一方、横になって眠っている間は顔と体の高さが同じになるため、朝はまぶたや顔にむくみが出やすくなります。つまり、「朝は顔・夕方は足」という日内変動があるむくみは、重力による自然な変化の範囲であることが多いのです。

逆に、時間帯に関係なく一日中むくんでいる、日を追うごとに悪化していく場合は、重力以外の原因、つまり内臓や血管の問題を考えるサインになります。

高齢の方のむくみについて

高齢になると、心臓や腎臓の予備力の低下、筋肉量の減少、座って過ごす時間の増加、複数の薬の服用など、むくみの要因が重なりやすくなります。「年のせい」と片づけられがちですが、高齢の方のむくみは心不全の最初のサインであることも少なくありません。ご本人はもちろん、ご家族が「最近、親の足がむくんでいる」と気づいて受診につながるケースもよくあります。靴下の跡が深く残る、靴が入らなくなった、体重が増えて食欲が落ちた――そんな変化に気づいたら、早めにご相談ください。

自分でできるむくみ対策

生活習慣によるむくみは、次の工夫で改善が期待できます。

  • こまめに動く:1時間に1回は立ち上がる、足首を上下に動かす、かかとの上げ下げをする。ふくらはぎのポンプを働かせることが基本です。
  • 塩分を控える 麺類のスープは残す、加工食品を減らす、だしや酸味で味を補う。日本人は平均して1日約10gの食塩をとっており、目標(男性7.5g・女性6.5g未満)を大きく超えています。
  • カリウムをとる:野菜・果物・海藻などに含まれるカリウムは、塩分の排出を助けます(腎臓病の方はとりすぎに注意が必要なため、主治医にご相談ください)。
  • 水分はこまめに:むくみを恐れて水分を控えるのは逆効果です。少量ずつこまめにとりましょう。
  • 足を高くして休む :寝る時にクッションなどで足を少し高くすると、たまった水分が戻りやすくなります。

特に塩分制限は内臓保護の観点からも重要です。むくむからといって水分量を減らすことは脱水を起こす可能性もあり危険です。まずは減塩と規則正しい生活・運動を意識してみましょう。

病院に行く目安:こんなむくみは受診を

次のいずれかに当てはまるときは、生活習慣によるむくみとして様子を見るのではなく、一度医療機関で調べることをおすすめします。

  • 数日以上むくみが続く、悪化していく
  • 朝になってもむくみが引かない
  • 体重が急に増えた(数日で2〜3kg以上)
  • 息切れ、動悸、横になると苦しい・咳が出る
  • 顔やまぶたのむくみ、尿の泡立ち・量の変化
  • 押してもへこまないむくみに、強い疲れやすさや寒がりを伴う
  • 片足だけが急に腫れた・痛い(その日のうちに受診を)

特にどんどん悪化していくむくみや息切れ症状がある場合、左右差がある場合は心不全や血栓症等の重篤な疾患が隠れている場合があります。繰り返しになりますが、このような症状がある場合は速やかに医療機関を受診するようにしてください。

むくみは何科を受診すればいい?

むくみの受診先に迷ったら、内科・循環器内科が窓口になります。心臓・腎臓・肝臓・甲状腺・血管と、むくみの原因を横断的に調べられるためです。

当院では、必要に応じて次の検査でむくみの原因を調べます。

  • 血液検査(腎臓・肝臓・甲状腺・心臓の負担の指標など)
  • 心臓超音波検査(心エコー)
  • 心電図・24時間ホルター心電図
  • 下肢の血管エコー

いずれも痛みの少ない検査となります。原因がわかれば、利尿剤や漢方薬による治療、生活習慣のアドバイス、現在服用中の薬の見直しなど、その方に合った対応が可能です。薬での治療については関連記事

「むくみに薬は効く?漢方薬・利尿剤・市販薬の違い」もご覧ください。

よくあるご質問

Q. むくみは放置するとどうなります;A.生活習慣によるむくみであれば、大きな問題になることはまれです。ただし、病気によるむくみを放置すると、原因となっている病気が進行してしまいます。「治らないむくみや息切れ・痛み・左右差を伴うあるむくみは調べる」を原則にしてください。

Q. むくみと肥満は関係ありますか?;A.むくみによる体重増加は水分、肥満は脂肪の増加で別ものです。ただし、肥満は心臓への負担や下肢静脈瘤のリスクを高め、むくみやすさにつながります。当院ではダイエットのご相談も行っていますので、あわせてお声がけください。

Q. 子どものむくみも同じように考えてよいですか?A.お子さんのむくみ、特にまぶたや顔のむくみは、腎臓の病気が関係することがあり大人と同じようには考えられません。小児でもネフローゼ症候群・糸球体腎炎など腎疾患を発症する場合があります。早めに小児科または内科を受診してください。

Q. 受診するときに準備しておくことはありますか? ;A.「いつから・どこが・どの時間帯にむくむか」「体重の変化」「飲んでいる薬(お薬手帳)」の3点をメモしてお持ちいただくと、診察がスムーズです。

まとめ

  • むくみは皮膚の下に水分がたまった状態。すねを押してへこみが残るかで確認できる
  • 大半は姿勢・塩分・お酒など生活習慣によるもので、セルフケアで改善が期待できる
  • ただし、続くむくみ・朝も引かないむくみ・片足だけ・息切れ症状を伴うむくみは病気のサインのことがある
  • 迷ったら内科・循環器内科へ。検査で原因を調べることが、いちばんの近道です

むくみは「よくあること」で片づけられがちですが、体の変化を知らせてくれる大切なサインでもあります。気になるむくみがあれば、どうぞお気軽に当院へご相談ください。


この記事の執筆者 わらび内科・循環器内科クリニック 院長 髙橋 剛士 (総合内科専門医・循環器内科専門医)

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