睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)は、睡眠中に何度も呼吸が止まった状態(無呼吸)や止まりかける状態(低呼吸)が繰り返される病気です。いびきや日中の眠気症状、集中力の低下といった症状から居眠り運転の原因にもなります。また、睡眠は1日の約3-4割の時間を占めており長時間にわたり心血管系に負荷がかかり続けることになる結果、高血圧や不整脈・脳梗塞・心筋梗塞・大動脈瘤といった重大疾患の発症を増加させます。特に重症の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)は死亡率を上昇させることがわかっており、健常人と比較し約2.6倍死亡リスクを上昇させます。日本には約900万人程度の患者さんがいるといわれておりますが、実際に治療を受けられている人数はそのうち50万人程度といわれております。
1. 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)
最も多いタイプで、気道が物理的に閉塞することにより呼吸が妨げられる状態です。肥満、扁桃肥大、下顎の形状(短い顎)などが原因となります。
2. 中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS)
呼吸を司る脳の指令が適切に伝わらず、呼吸が止まる状態です。心不全や脳卒中などの疾患に関連して発症することが多いです。
3. 混合型睡眠時無呼吸症候群
閉塞性と中枢性の両方の要素を持つタイプです。
SASは肥満と大きく関係します。インスリン抵抗性が増大する結果、糖尿病の発症も増加します。
また、就寝中の強い無呼吸ストレスにより血圧、脈拍に大きな負荷がかかる結果以下のような血管病・心血管疾患のリスクが増加します。
医療コラム「いびき・睡眠時無呼吸と心臓・血管の病気」もご参照ください。
CPAP療法は中等度から重症度に有効な治療法です。睡眠中に鼻に装着したマスクから空気を送り込み、気道を開存させて治療します。睡眠中の無呼吸・いびきが減少し、日中の眠気症状の改善や血圧を下げる効果が期待されます。倦怠感症状が見違えるようによくなったという方もおり、現在最も多く行われている標準治療です。
マウスピース療法は軽症の睡眠時無呼吸症候群に適した治療法です。睡眠時にマウスピース(スリープスプリント)を装着し下顎を前方に出すように固定することで、上気道を広く保ち、無呼吸やいびきの発生を防ぎます。歯科医院での作成となりますのでご希望の医療機関へ紹介状を作成いたします。
生活習慣の改善によりいびきや無呼吸が改善することがあります。
これらはSAS症状の増悪につながることがあります。
減量も非常に有効です。根本治療といってもよいかもしれません。当院ではダイエット外来も行っております。
仰向けで寝ることで気道が閉塞しやすくなり無呼吸が増加する場合があります。横向きで寝ると症状が多少改善する方がいらっしゃいます。また口呼吸になることも多く口元を抑えるテープなどが有効な場合もあります。
睡眠時無呼吸症候群は致死率の高い多くの循環器疾患と密接に関係しています。
このような症状がご心配の方は一度ご相談下さい。