高LDLコレステロールはどこまで下げればよいか?|蕨市蕨駅・西川口駅の内科・循環器内科|わらび内科・循環器内科クリニック

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医療コラム

高LDLコレステロールはどこまで下げればよいか?|蕨市蕨駅・西川口駅の内科・循環器内科|わらび内科・循環器内科クリニック

LDLコレステロール(いわゆる「悪玉コレステロール」)の値が高いと健康診断で指摘され、不安に感じる方も多いでしょう。「悪玉」と呼ばれるLDLコレステロールは一体何者で、下げるとどんなメリットがあり、どのくらいまで下げれば良いのでしょうか。本記事では

・LDLコレステロールとは何か

・高いとどんなリスクがあるか

・下げるメリット

・そして個人ごとの目標値の違いや改善方法

について、最新情報に基づきわかりやすく解説します。

LDLコレステロールとは?悪玉コレステロールの基礎

LDLコレステロールとは血液中のコレステロールの一種で、Low-Density Lipoprotein(低密度リポたんぱく)の略称です。LDLは肝臓で作られたコレステロールを全身の細胞に運ぶ役割がありますが、必要以上に増えると余分なコレステロールを血管壁に沈着させてしまいます。このためLDLコレステロールは一般に「悪玉コレステロール」と呼ばれ、動脈硬化の原因になることで知られています。対照的に、HDL(高密度リポたんぱく)コレステロールは余分なコレステロールを回収して肝臓に戻す働きがあるため「善玉コレステロール」と呼ばれます。

高LDLコレステロールのリスク(心筋梗塞・脳卒中など)

LDLコレステロール値が高くなると動脈硬化(アテローム硬化)を起こしやすくなり、結果として心筋梗塞(心臓発作)や脳卒中(脳梗塞など)になる危険性が高まることが知られています​。悪玉コレステロールが血管の内側に蓄積するとプラーク(コブ状の蓄積物)となり、血管が徐々に狭く硬くなります。この状態を動脈硬化といい、放置すると血管が詰まって心臓や脳の深刻な病気を引き起こします​。実際にLDLコレステロールが高い人は、低い人に比べて心筋梗塞や脳卒中など心血管イベントを起こすリスクが有意に高いことが示されています※1

 

※1. Cholesterol Treatment Trialists’ (CTT) Collaboration. “Efficacy and safety of LDL-lowering therapy among men and women: meta-analysis of individual data from 174,000 participants in 27 randomised trials.” Lancet. 2015.

 

LDLコレステロールを下げるメリット(動脈硬化予防など)

LDLコレステロールを十分に下げることで、動脈硬化の進行を食い止め、心筋梗塞や脳卒中といった重大な疾患の発症リスクを減らすことができます。例えば、スタチン(後述)などの治療によりLDLコレステロールを約40 mg/dL下げると、心血管リスクが20~25%程度低下することが報告されています​。言い換えれば、LDLコレステロールを下げれば下げるほど心血管病の予防効果が高まる傾向にあります。

実際に、悪玉コレステロール低下療法(スタチン治療など)は動脈硬化による心臓病や脳卒中の一次予防・二次予防双方で患者さんの生存率改善に大きく寄与しています。LDLコレステロールを適切に管理することは、動脈硬化の予防心血管イベントリスクの低下に直結する重要なポイントなのです​。

LDLコレステロールの目標値:一次予防と二次予防でどう違う?

LDLコレステロールは患者さんのリスク状況に応じて目標値が異なります。

・「一次予防」・・・まだ心筋梗塞や脳卒中などを起こしていない

一次予防では LDLコレステロールをおおむね120~140 mg/dL未満にコントロールできることが望ましいとされます。特に糖尿病や慢性腎臓病など動脈硬化の危険因子を持つ方ではリスクが高いため、100 mg/dL未満などより厳しめの目標値が設定されます​。

・「二次予防」・・・既に心筋梗塞や狭心症・脳卒中など動脈硬化性疾患を経験している場合

二次予防ではLDLコレステロールをさらに低く抑えることが推奨され、その中でも目標値が異なります。日本動脈硬化学会の最新ガイドライン(2022年版)では、二次予防の場合LDLコレステロール<100 mg/dLを目標とし、特に心筋梗塞の患者さんや糖尿病を合併している場合などは70 mg/dL未満にまで下げる厳格な治療目標で管理します​。「リスクが高い人ほどLDLコレステロールはより低く」が基本方針であり、かかりつけ医と相談しながら自分に合った目標値を設定して管理していくことが大切です。70mg/dL以下ではプラークが小さくなる効果も報告されており、これらの病気を経験された方は70mg/dL未満での管理が推奨されると考えます。

▼ LDLコレステロール目標値の一例(リスク別の目安)

  • ・一般的な健康な方(一次予防・低~中リスク): 140 mg/dL未満が理想的な目安です。
  • ・危険因子のある方(高リスク一次予防): 120 mg/dL未満、特に糖尿病や腎臓病がある場合は100 mg/dL未満を目標にします。
  • ・心筋梗塞・脳卒中を経験した方(二次予防):70 mg/dL未満を目指します。年齢や基礎疾患によってはさらなる低下を目指します。

 

数値が低いほど将来的な心血管イベントの再発リスクが低くなる傾向があります。担当医は患者さん個別の状態に応じて目標値を設定しますので、自分のリスクレベルについて医師とよく相談してください。

LDLコレステロールを下げる方法(食事・運動・薬物療法)

LDLコレステロールを下げるには、生活習慣の改善が基本です​。具体的には食事と運動の見直しが重要で、それでも十分に下がらない場合に薬物療法を検討します。

  • ✔️食事改善

    : コレステロールや飽和脂肪酸の多い食品(脂身の多い肉、バターなど動物性脂肪)を摂りすぎないようにし、野菜や海藻、キノコ類、豆類など食物繊維を多く含む食品を積極的に摂りましょう​。魚(特に青魚に含まれるEPA/DHA)や良質な植物油(オリーブ油など)を適度に取り入れることも有益です。

  • ✔️運動習慣

    : 有酸素運動(ウォーキングや軽いジョギング、サイクリングなど)を定期的に行いましょう。目安として1日30分程度の適度な運動を週に35日行うと効果的です​。運動によりLDLコレステロールが軽減されるだけでなく、善玉のHDLコレステロールが増えやすくなり、動脈硬化の予防効果が高まります。また運動は高血圧や糖尿病の改善にもつながり、総合的に心血管リスクを下げます。

  • ✔️薬物療法

    : 生活習慣改善を行ってもLDLコレステロールが高いままの場合や、リスクが高く早急に下げる必要がある場合には、薬による治療を行います。一般的にスタチンHMG-CoA還元酵素阻害薬)という薬が第一選択で用いられます。スタチン系薬剤は肝臓でのコレステロール合成を抑えて効果的にLDLコレステロールを低下させ、心筋梗塞などの予防効果が確立されています。また、必要に応じてエゼチミブ(腸でのコレステロール吸収を抑える薬)やPCSK9阻害薬(さらなる強力な薬剤)などが併用されることもあります。薬物療法中も食事・運動の習慣は続け、医師の指示通りに内服を継続することが重要です。

 

未治療時のLDL>180mg/dLの場合は家族性高コレステロール血症と言って遺伝的にコレステロール代謝が低下している場合があります。このような場合は心血管疾患の高リスクであり早期の内服加療が推奨されます。

まとめ:適切な管理で健康寿命を延ばしましょう

LDLコレステロール(悪玉)は低ければ低いほど動脈硬化の予防につながりますが、どこまで下げるべきかは一人ひとりのリスクによって異なります。大切なのは、医師と相談しながら自分に合った目標値を設定し、根拠に基づいた治療で着実にLDLコレステロールを管理していくことです。高LDLコレステロールと指摘されても過度に心配せず、ぜひ専門医に相談して適切な対応を取りましょう。蕨市・戸田市・川口市周辺で高コレステロール血症の治療をご検討中の方は、お気軽に当クリニックまでご相談ください。正しい知識と対策で動脈硬化を防ぎ、健康寿命を延ばしていきましょう。

 

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