目次
はじめに
「血管年齢が高い」と言われたことはありませんか?
血管年齢とは、血管のしなやかさや硬さを基に、血管の“老化度”を年齢として表したものです。加齢とともに誰でも血管は硬くなりますが、生活習慣によっては実年齢以上に老化が進んでしまうこともあります。
本日は血管年齢・動脈硬化の測定方法、そして血管を若く保つためのポイントをわかりやすく解説します。
血管年齢はどうやって測る?
✅ ABI(足関節上腕血圧比)とは
足首と上腕の血圧の比から、下肢動脈の閉塞や狭窄の有無を評価する検査です。
✅ CAVI(心臓足首血管指数)とは
血管の弾力性・硬さを測定する指標で、全身の動脈硬化の進行度=血管年齢がわかります。数値が高いほど血管が硬く、動脈硬化が進行していると判断されます。ただし、CAVIはあくまで「機能的評価(硬さ)」であり、構造的な変化(プラークなど)までは把握できません。
✅ 頸動脈エコーとは
動脈は体の深い部分は走行しており、簡易的に観察できる部位は限られています。代表的な動脈が「頸動脈」です。
頸動脈エコーでは、首の左右にある総頸動脈や内頸動脈を観察し、以下の点を評価できます:
- ・内膜中膜複合体(IMT)の厚さ
- ・プラークの有無や性状(やわらかい・硬いなど・動くかどうか)
- ・狭窄があるか
🔍 頸動脈エコーのエビデンス
- ・IMTが1mm増えるごとに脳卒中リスクが13%増加(Lorenz MW, Circulation, 2007)
- ・頸動脈プラークの有無は、冠動脈疾患や末梢動脈疾患の強力な予測因子(Inaba Y, JACC, 2012)
→ 動脈硬化の進行度を評価する目的では、頸動脈エコーは「構造的変化」を捉えることができ、予防医療に非常に適した検査です。
(超音波による頸動脈病変の標準的評価法2017)
動脈硬化を進める危険因子
✔️高血圧 ✔️糖尿病 ✔️脂質異常症 ✔️喫煙 ✔️肥満
✔️家族歴 ✔️高尿酸血症 ✔️ストレス ✔️加齢 ✔️閉経後の女性 ✔️気候(寒冷地等)
これらを1つでも減らすことが重要です。
血管年齢を若返らせる5つの生活習慣改善
① 減塩と食生活の見直し
- ・1日あたりの塩分は6g未満を目指す
- ・野菜・魚を中心とした地中海食が理想
- ・青魚に含まれるEPA/DHAが動脈硬化を防ぎます
② 有酸素運動の習慣化
- ・1回30分、週5日以上のウォーキング・軽いジョギング
- ・継続がカギ。「ながら運動」でもOK
- ・運動により血管内皮機能が改善され、炎症も抑制されます
③ 禁煙
- ・喫煙は血管の収縮と酸化ストレスの増加をもたらします
- ・禁煙後5年で心筋梗塞のリスクが大幅に減少するという報告も
- ・当院では禁煙外来も実施しています
④ 体重と内臓脂肪の適正化
- ・BMIは25未満、腹囲は男性85cm未満・女性90cm未満が目安
- ・食べ過ぎ・夜食・甘い飲み物に注意
- ・食事記録アプリの活用もおすすめです
- ・どうしても減量ができない方へ、当院ではダイエット外来も行っております。
⑤ 薬物療法の活用
- ・高血圧、脂質異常症、糖尿病の管理は医師の指導のもとに薬物療法も併用
- ・代表的な薬剤:スタチン、ARB、Ca拮抗薬、SGLT2阻害薬など
- ・頸動脈プラークはスタチン内服などで縮小が期待できます
- ・健康診断も活用しましょう
「沈黙の病気」を可視化する頸動脈エコー
動脈硬化は症状がないまま進行し、突然の心筋梗塞や脳卒中として現れることがあります。
頸動脈エコーは、こうした「沈黙の病気」を早期に発見し、生活習慣改善や薬物治療のきっかけとして非常に有用です。
当院でできるサポート
- ✅ 高血圧・脂質異常症・糖尿病のトータル管理
- ✅ 食事・運動・禁煙指導・ダイエット外来
- ✅ 必要に応じて専門医療機関との連携
- ✅ 頸動脈エコーによる動脈硬化の評価と血管年齢の推定
よくある質問(FAQ)
Q. 自覚症状がないのに検査を受ける必要はありますか?
A. はい。動脈硬化は自覚症状がないまま進行する「沈黙の病気」です。症状が出たときには、すでに心筋梗塞や脳卒中を発症している可能性があります。検査を通じて早期のリスク評価と異常を発見し、予防的に介入することが可能です。症状がなくても、生活習慣病ある方・ご心配な方はぜひご相談ください。
Q. 検査は痛いでしょうか?
A. 超音波検査は痛みはありません。採血をとる場合がございますのでその時の痛みのみになります。
Q. 血管年齢は若返るのですか?
A. 食事、運動、禁煙、適切な薬物治療により、血管の弾力や内皮機能の改善が期待されます。これにより血管年齢が実年齢に近づく可能性があります。
まとめ
血管年齢を若く保つことは、心筋梗塞や脳卒中といった致命的な疾患の予防につながります。
「血管年齢が気になる」「将来の病気を防ぎたい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。今の血管の状態を“見える化”し、未来の健康につなげましょう。心臓・血管の専門家がフォロー致します。