血液検査で心不全かどうかを知る NT-pro BNPとは?|蕨市蕨駅・西川口駅の内科・循環器内科|わらび内科・循環器内科クリニック

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医療コラム

血液検査で心不全かどうかを知る NT-pro BNPとは?|蕨市蕨駅・西川口駅の内科・循環器内科|わらび内科・循環器内科クリニック

NT-pro BNPと心不全スクリーニング:最新の知見とカットオフ値の変更について

はじめに

心不全は高齢化の進行とともに増加しており、早期診断と適切な管理が重要です。その中でNT-pro BNP(N-terminal pro-brain natriuretic peptide)は、心不全の診断や重症度評価に有用なバイオマーカーとして広く利用されています。近年、このNT-pro BNPのカットオフ値が125pg/mLに下がったことが話題になっています。本記事では、最新の知見をもとにNT-pro BNPの役割やカットオフ値変更の背景について詳しく解説します。

NT-pro BNPとは?

NT-pro BNPは、心臓が負荷を受けた際に分泌されるホルモンの前駆体であり、特に心不全の診断や予後予測に役立つマーカーです。心不全が進行すると心室の壁が伸展し、NT-pro BNPの分泌が増加します。そのため、血中濃度を測定することで心不全の有無や重症度を評価できます。高齢の方や腎機能が悪い方では高値になりやすく、逆に肥満の方は低値となりやすいと言われています。

NT-pro BNPの特徴

  •  ✔️腎機能の影響を受けにくいBNPよりも長時間血中に留まる)
  •  ✔️安定性が高く、測定が容易
  •  ✔️早期の心不全のスクリーニングに有効

NT-pro BNPのカットオフ値の変更について

これまで、心不全のスクリーニングにおけるNT-pro BNPのカットオフ値は300pg/mLとされることが多かったのですが、最新のガイドラインでは125pg/mLに変更されました。この変更により、より早期の心不全患者のスクリーニングが可能になりました。

なぜカットオフ値が変更されたのか?

  1.早期発見の重要性

    ✔️25pg/mLという低めのカットオフ値を設定することで、より軽症の心不全を早期に検出できる。

    ✔️軽症の段階で適切な治療を開始すれば、重症化を防ぎ、患者のQOL(生活の質)を維持できる。

 

  2.新たなエビデンスの蓄積

        ✔️最近の大規模研究で125pg/mL以上のNT-pro BNP値を示す患者の中に、

          無症候性の心不全や隠れた心機能障害を持つ症例が多いことが明らかになった。

        ✔️これを踏まえ、より厳密なスクリーニング基準が推奨されるようになった。

     

      3.より精度の高い診断基準へのシフト

        ✔️高齢者や慢性腎臓病患者ではNT-pro BNPがやや高めに出る傾向がある。

          従来の300pg/mLでは診断を見逃す可能性があった。

        ✔️125pg/mLに設定することで、より多くの潜在的な心不全患者を検出できるようになる。

     

    スクリーニングにおけるNT-pro BNPの役割

    現在、NT-pro BNPは心不全の疑いがある患者のスクリーニング検査として推奨されています。特に、息切れやむくみ、倦怠感、動悸などの症状を訴える患者において、心不全の可能性を評価する際に有用です。

    NT-pro BNP値の解釈

    NT-pro BNP

    解釈

    125pg/mL未満

    心不全の可能性は低い

    125300pg/mL

    軽度の心機能障害の可能性あり。追加検査を推奨

    300pg/mL以上

    心不全の可能性が高く、詳細な検査が必要

    900pg/mL以上

    比較的重症な心不全の可能性が高い

    NT-pro BNPのカットオフ値変更による臨床への影響

     1.早期診断の精度向上

    •   ✔️軽症の心不全患者を早期に発見し、より軽症段階での適切な治療介入が可能になる。
    •   ✔️重症化する前に生活習慣の改善や薬物療法を開始できる。

     

     2.適切な検査と診療フローの確立

      •   ✔️NT-pro BNP 125pg/mL以上の患者には追加の検査(心エコーなど)を推奨
      •   ✔️医療機関での早期受診を促すことで、適切な心不全管理を実施できる。

       

       3.診療の効率化と医療コストの削減

      •   ✔️早期診断により、入院治療が必要な重症心不全の発生を減少させる。
      •   ✔️在宅管理や外来でのフォローアップが可能になり、医療コストの削減にもつながる。

      症状が出揃う前の「隠れ心不全」初期の心不全を拾い上げやすくなります例えば、高血圧や糖尿病を持つ高齢の患者さんでNT-proBNPが150 pg/mLとやや高めであれば、症状がなくても心エコー検査で心臓の状態を確認し、心不全の初期の徴候が見つかれば早めに治療介入するといった対応が可能なりますこれによりステージA(発症リスクあり)からステージB(器質的心疾患あり、無症状)段階での介入がしやすくなり、結果的に重症化予防や予後改善につながることが期待されます。重症化後の入院加療も抑えられるため費用の削減にも繋がります。

      心不全は増悪・入院をするたびに予後が悪くなる疾患でありこれらを防ぐことが非常に重要です。

      NT-pro BNPを活用した心不全予防と管理

      心不全の管理には早期発見・早期介入が不可欠です。NT-pro BNPを活用することで、症状が出る前の段階で異常を検出し、適切な治療を開始することが可能になります。

       1.生活習慣の改善

      •   ✔️減塩食・適度な運動・禁煙
      •   ✔️体重管理(急激な増加は心不全悪化のサイン)

       

       2.薬物療法の早期導入

      •   ✔️β遮断薬、RAS阻害薬、SGLT2阻害薬など
      •   ✔️必要に応じて利尿薬を使用
      •   ✔️薬物療法を早期から十分に使用する事で長期生存が可能になってきた!

       

       3.定期的なフォローアップ

      •   ✔️NT-pro BNPの測定を活用し、状態の変化を早期に把握
      •   ✔️必要に応じてレントゲン、心電図、心エコーなどの追加検査

       

      まとめ

      NT-pro BNPのカットオフ値が125pg/mLに変更され、より早期の心不全スクリーニングが可能に!

      軽症の心不全患者も見逃さず、早期の診断と適切な管理ができるように!

      NT-pro BNPを活用したスクリーニングで、心不全の進行を防ぎQOLと寿命を向上!

      📌 心不全のリスクを早期に把握し、適切な治療を受けるためにNT-pro BNPの測定を活用しましょう。ご心配のある方はご相談ください。

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