わらび内科・循環器内科クリニックです。今日は心不全患者さんは今後もどんどん増える、ということについてお話しようと思います。
心不全とは、心臓の機能が低下し全身に十分な血液を送り出せなくなる状態を指します。高齢者に多く見られ、心筋梗塞や高血圧など他の心血管疾患の結果としても発生します。(検査・治療については別途ホームページをご参照ください。)
現在、心不全は世界的に重要な健康問題となっており今後の患者数のさらなる増加が懸念されています。
1.現在の心不全患者数の状況
心不全は、先進国を中心に急増してきています。日本では現在約120万人が心不全を患っていると推定されています。心不全は、特に65歳以上の高齢者に多く見られ、この年齢層における入院理由の一つとして主要な原因となっています。
2.今後の患者数増加の予測
心不全患者数は今後、さらに増加することが予測されており、「心不全パンデミック」と呼ばれています。
主な要因として、以下の点が挙げられます。
- 高齢化社会の進展: 世界各国で進行する高齢化は、心不全患者数の増加を促進する最大の要因とされています。高齢になるほど心血管系の機能が低下しやすく、心不全のリスクが高まります。
- 心血管疾患の改善: 医療技術の進歩により、心筋梗塞や高血圧など他の心血管疾患での死亡率が低下している一方で、その結果としてこれらの疾患を経た方々が長生きできるようになり、心不全を発症するリスクが増しています。
- 生活習慣病の増加: 糖尿病、高血圧、肥満などの生活習慣病は、心不全のリスクを高めます。これらの増加が心不全患者数の増加に寄与しています。
- 心不全の早期診断と治療: 近年の技術進歩により、心不全の早期診断が可能になりより多くの患者がより早期に発見されています。また、薬物治療もここ数年での進歩は著しく年々新たな心不全治療薬が現れています。
3.心不全患者数の今後の見通し
日本では、2040年までに心不全患者数が約170万人に達するとの予測があります。これは、現在の患者数に比べて約1.5倍と大幅な増加を示しており、社会全体への影響も大きくなると考えられています。世界的にも同様の傾向が見られ、特に高齢者人口の多い地域での患者数の増加が顕著になると予想されます。
4.予防と管理の重要性
心不全患者数の増加に対応するためには、予防と早期介入が不可欠です。
- 生活習慣の改善: バランスの取れた食事、定期的な運動、禁煙、ストレス管理が心不全の予防に有効です。これらは、他の心血管疾患や生活習慣病の予防にも寄与します。
- 定期的な健康診断: 高血圧や糖尿病などのリスク因子を早期に発見し、適切に管理することで、心不全の発症を予防することができます。
今後の更なる高齢化の進展に伴い、心不全患者数の増加は避けられない問題です。予防と早期診断・治療、生活習慣の改善を通して心不全患者の生活の質を向上させ、健康寿命を延ばすことが重要と考えます。
心不全も初期は本当に些細な症状から始まります。
最近疲れやすい・息切れがする・浮腫みやすい・健康診断での異常
これらは年齢のせいだけではない可能性がございます。当院では循環器専門医が複数在籍しております。
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