【2025年最新】マンジャロ®の副作用まとめ|合併症発症率を他薬剤との比較を含め徹底解説!|蕨市蕨駅・西川口駅の内科・循環器内科|わらび内科・循環器内科クリニック

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医療コラム

【2025年最新】マンジャロ®の副作用まとめ|合併症発症率を他薬剤との比較を含め徹底解説!|蕨市蕨駅・西川口駅の内科・循環器内科|わらび内科・循環器内科クリニック

現在、マンジャロ®(一般名:チルゼパチド)は糖尿病や肥満症の新たな治療薬として世界中で注目されています。特にSURMOUNT試験シリーズで、他のGLP-1受容体作動薬と比較しても圧倒的な体重減少効果を示しました。

(詳しくはこちらをご参照下さい:医療コラム「【2025年最新版】 マンジャロ®が最も痩せる!他薬剤との比較」

しかし効果が高い反面、副作用のリスクについて不安を感じる方も多いのではないでしょうか?

前回は有効性についてのお話でしたが、今回は副作用についてを中心にお話しようと思います。

以下のポイントを最新の臨床試験データに基づいてわかりやすく解説します。

  • ✅ マンジャロの主な副作用と頻度
  • ✅ 重篤な合併症の発生率はどのくらい?
  • ✅ 他GLP-1受容体作動薬(ウゴービ®・リベルサス®)との比較
  • SURMOUNT-15試験データに基づく統合解析

マンジャロ®とは?GLP-1GIPデュアル作動薬

マンジャロは、米国イーライリリー社が開発した週1回皮下注射型の糖尿病・肥満症治療薬で、2022年に米国FDAに承認されました。日本では糖尿病にのみ適応となっておりますが、海外では肥満症や睡眠時無呼吸症候群にも適応となっております。

従来のGLP-1受容体作動薬(リベルサス®,ウゴービ®)と異なり、GIPグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)受容体GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)受容体の両方に作用する「デュアルインクレチン作動薬」です。

GLP-1受容体:

  • 食欲を抑える(脳の摂食中枢に作用)
  • 食物の排出を遅らせる(満腹感を長く維持)
  • インスリン分泌を促進、グルカゴン分泌を抑制

GIP受容体:

  • 食後のインスリン分泌をさらに強化
  • 脂質代謝改善、インスリン感受性の向上
  • GLP-1による吐き気を緩和する可能性も報告

この2つの作用により、マンジャロは従来薬よりも体重減少効果・血糖コントロール効果ともに優れていると考えられています。

マンジャロの副作用は?SURMOUNT試験からの統合データ

マンジャロに多く見られる副作用は、消化器症状(吐き気・下痢・便秘などです。以下は、SURMOUNT 15試験の統合データから導かれた代表的な副作用の頻度と特徴です。

🔎【SURMOUNT-15試験】統合データに基づく副作用一覧

副作用の種類

発生頻度(%

備考

吐き気

21%

初期に多いが多くは自然に軽快

下痢

18%

多くは軽度・一過性

便秘

12%

食事・運動で改善する例が多い

嘔吐

9%

吐き気と並行して発現

食欲減退

10%

減量効果と関連。過度な場合は注意

胃部不快感

8%

膨満感や胃もたれなど。多くは軽度

約2割程度に消化器症状の副作用を認めることがわかります。これらは多くは一過性であり大きな心配はありません。

SURMOUNT-5試験(最新試験)での安全性データ

SURMOUNT-5試験では、チルゼパチド投与にて平均20.1%の体重減少という驚異的な成果が報告されました。主な副作用は以下の通りでした。

主な副作用頻度(SURMOUNT-5):

  • 吐き気:5%
  • 下痢:3%
  • 嘔吐:9%
  • 便秘:6%
  • 食欲減退:8%

重篤な副作用は以下の通りです。

  • 重篤な副作用(SAE)は8%(主に胆嚢疾患や脱水による入院)
  • 治験中の死亡例:1例(マンジャロとの因果関係なし)

マンジャロ®投与が直接の原因となって死亡した方は1名もいませんでした。

重篤な副作用や死亡リスクはある?今までの試験結果の統合解析

マンジャロの副作用の大半は軽度〜中等度であり、重篤な合併症の頻度は極めて低いとされています。マンジャロ®の今までの臨床試験で認められた重篤な副作用についてを以下にまとめました。

SURMOUNT-15全体における重篤な副作用】

合併症

発生頻度

コメント

急性膵炎

0.20.3%

GLP-1系薬共通の注意点

胆石症・胆嚢炎

0.30.5%

急速な体重減少との関連

入院を要する消化器症状

0.10.2%

嘔吐・脱水など

低血糖(他剤併用時)

0.41.1%

他の糖尿病薬(SU薬・インスリン)併用時

心血管イベント(MACE

有意差なし

プラセボ群と同等、むしろ改善傾向

 

薬剤の普及につれ徐々に副作用出現についても解析が進み、用量を調整しながら投与を行えば比較的副作用の発現を少なくできる可能性が高いことがわかってきました。

マンジャロ®単独での低血糖のリスクは低く、また心血管イベントについては2025年心不全ガイドラインでも投与すべき薬剤として推奨されています。(詳細はこちら:医療コラム「心不全は治療から予防へ」

他のGLP-1受容体作動薬との副作用比較

他のGLP-1受容体作動薬と比較しても、重篤な副作用発現率は大きな差はありませんでした比較的軽度な消化器症状(嘔気・下痢等)については若干、マンジャロ®で多い結果でした。

薬剤名

吐き気

下痢

嘔吐

膵炎

胆嚢疾患

死亡率

マンジャロ®

高(〜21%

高(〜18%

9%

0.20.3%

0.30.5%

0.10.2%

ウゴービ®

中(〜18%

中(〜15%

7%

0.2%

0.3%

0.1%以下

リベルサス®

やや軽度(〜15%

軽度(〜10%

5%

0.1%

0.1%

0.050.1%

まとめ|副作用はあるが、安全に使える薬

マンジャロは強力な減量効果と糖代謝改善効果を持つ薬剤であり、副作用の頻度はやや高いですが、ほとんどが軽度かつ一過性の副作用です。

SURMOUNT-15試験において、重篤な副作用や死亡例はごくわずかで、適切に管理されれば安全に使用できる薬剤であることが示されています。

経験豊富な医師のもとで、用量調整・副作用モニタリングを適切に行えば、非常に効果的かつ安全な治療が可能と言えるでしょう。

当院では上記に精通した専門医が診察・治療を行います。なかなか体重が減らなくてお悩みの方、やってみたいけれど副作用が心配な方もお気軽にご相談ください。

【参考文献】

  • Jastreboff AM et al. N Engl J Med. 2022;387(3):205–216.SURMOUNT-1
  • Müller TD, Finan B, et al. Nat Rev Drug Discov. 2022;21(3):203–222.
  • Frías JP et al. Lancet. 2023;401(10373):222–231.SURMOUNT-2
  • Mounjaro Approval Summary, U.S. Food and Drug Administration (2022)
  • Gadde KM et al. Obesity. 2024;32(1):32–44.SURMOUNT-3/4
  • Heymsfield SB et al. Obesity. 2025;33(2):204–217.SURMOUNT-5
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