虫歯・歯周病を放置すると糖尿病リスクが上がる?|蕨市蕨駅・西川口駅の内科・循環器内科|わらび内科・循環器内科クリニック

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医療コラム

虫歯・歯周病を放置すると糖尿病リスクが上がる?|蕨市蕨駅・西川口駅の内科・循環器内科|わらび内科・循環器内科クリニック

「虫歯くらいなら大丈夫」

そう思っていませんか?

近年、虫歯や歯の状態と糖尿病の関係が注目されています。

本記事では2026年2月の英国キングス・カレッジ・ロンドンの最新の研究をもとに歯周病と糖尿病の密接な関係について詳しくご紹介します。

糖尿病の方、予備群かどうか心配な方、そして「最近歯ぐきの状態が気になる」という方にぜひお読みいただきたい内容です。

研究について

本研究は、英国キングス・カレッジ・ロンドンの口腔・歯科・頭蓋顔面バイオバンクに参加した911名の患者を対象とした横断研究です。

歯科のチェアサイド(診察台のそば)でHbA1cを測定し、歯周病との関連と、糖尿病スクリーニングとしての有用性を検証しました。

主な研究結果

患者の歯周病状態の内訳

911名の患者の歯周組織の状態を分類したところ、次のような結果になりました。

  • 歯周健全(健康):6.0%
  • 歯肉炎:11.3%
  • 歯周炎(ステージI〜IV):82.7%

歯科病院を受診した患者の、実に8割以上が、何らかの程度の歯周病を持っていたことがわかります。

HbA1cの測定結果:約35%が「糖尿病・予備群」

全対象者のHbA1c平均値は5.71 ± 0.94%でした。自己申告で糖尿病と回答した104名を除いた残りの患者のうち、

  • 28.7%(約3割):HbA1c 5.7〜6.3%(糖尿病予備群の範囲)
  • 7.3%(約1割強):HbA1c 6.4%以上(糖尿病の範囲)

合わせて約35%の患者が「自分では気づいていない高血糖状態」にあったという衝撃的な結果です。

※日本の糖尿病診断基準では、HbA1c 6.5%以上が「糖尿病型」とされています(日本糖尿病学会)。6.0〜6.4%は「境界型(予備群)」に相当します。

歯周病が重いほど、HbA1cが高い

研究の最も重要な発見のひとつが、歯周病の重症度とHbA1c値に段階的な上昇傾向があることです。

歯周組織の状態 平均HbA1c値
歯周健全(健康) 5.43 ± 0.51%
歯肉炎 5.51 ± 0.91%
歯周炎(歯周病) 5.76 ± 0.97%

歯周病が重いほど血糖値の指標であるHbA1cが高い傾向が明確に示されました。

HbA1cに関連する主要因子:年齢とBMI

HbA1c(糖尿病の程度)と有意に関連した因子は以下の通りです:

  • 年齢:年齢が高いほどHbA1cが高い
  • BMI(体格指数):BMIが高いほどHbA1cが高い

特に高齢・肥満傾向・歯周病を持つ方は、糖尿病リスクが重複して高い可能性があることが示唆されました。

歯周病と糖尿病の双方向の関係

歯周病と糖尿病の関係は、単純な「一方通行」ではありません。現在の医学的な知見では、この両者は「双方向性の関係」にあることが広く認められています。

糖尿病 → 歯周病を悪化させる

血糖コントロールが不良(HbA1cが高い状態)だと、以下のメカニズムにより歯周病が悪化しやすくなります。

  • 免疫機能の低下により、歯周病菌への抵抗力が落ちる
  • 唾液の分泌量が減り、口腔内の自浄作用が低下する
  • 血管障害により歯周組織への栄養供給が不足する
  • コラーゲンの代謝異常により、歯ぐきの修復力が低下する

歯周病 → 糖尿病を悪化させる

逆に、歯周病の炎症が全身に影響を与え、血糖コントロールを困難にするメカニズムも存在します。

  • 歯周病菌や炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-1βなど)が血流に入り込む
  • これらが全身の慢性炎症を引き起こす
  • 慢性炎症がインスリン抵抗性を高め、血糖値が下がりにくくなる

英国のNICE(国立医療技術評価機構)2022年ガイドラインでも、2型糖尿病患者には歯周病リスクが高いことを説明し、適切な口腔ケアがHbA1cの改善にもつながると推奨されています。日本のガイドラインでも同様に、糖尿病患者は定期的な歯科受診が推奨されています。

歯科でのスクリーニングが重要な理由

今回の研究が特に重要なのは、「歯科」という場所が糖尿病の早期発見の拠点になりうるという点です。

内科・健診を受けない人が歯科には来る

日本を含む多くの国で、定期的に内科検診を受けていない成人が少なくありません。しかし、歯の痛みや歯ぐきの腫れで歯科を受診する方は多くいます。歯科でのHbA1cスクリーニングは、これまで医療から「こぼれ落ちていた」ハイリスク患者を発見できる可能性があります。

日本では歯科での血液検査は困難であり、健診を受けておらず歯周病や虫歯を指摘された方は内科受診を検討しましょう。

歯周病患者はもともとリスクが高い

本研究でも示された通り、歯科病院を受診する患者の多くはすでに歯周病を持っています。歯周病はそれ自体が糖尿病と関連しており、歯科受診者はスクリーニング対象として最適な集団と言えます。

あなたにできること

糖尿病・予備群の方へ

糖尿病や血糖値が気になる方は、口腔ケアを血糖管理の一環として捉えることが大切です。

  • 定期的な歯科検診(3〜6ヶ月に1回)・内科健診(最低でも年1回)を受ける
  • 歯周病の治療・管理を主治医と連携して行う
  • 毎日の丁寧なブラッシングとフロスで歯周病菌を減らす
  • HbA1cの目標値達成が歯周病の改善にもつながると認識する

歯周病が気になる方へ

歯ぐきからの出血、腫れ、口臭、歯がぐらつく感覚がある方は、歯周病のサインかもしれません。放置すると全身への影響も出てきます。

  • 早めに歯科・歯周専門外来を受診する
  • 血糖値の検査(HbA1c測定)も合わせて受けることを検討する
  • 生活習慣(食事・運動・禁煙)の見直しを行う

「まだ診断されていない」方へ

今回の研究では、自覚症状のない方の約35%が予備群または糖尿病の血糖値を示していました。特に40歳以上で、BMIが高め、歯周病がある方は、内科・糖尿病専門外来での検査をお勧めします。当院では即日検査・結果説明が可能です。

まとめ

2026年に発表されたMark Ide博士らの研究は、歯科診療の場が単に歯を守るだけでなく、糖尿病の早期発見・全身健康管理の最前線になりうることを示しました。

重要なポイントをまとめます。

  • 歯科受診患者の約35%が、未診断の糖尿病または予備群だった
  • 歯周病が重いほど、HbA1c(血糖指標)が段階的に高い
  • 年齢・BMI・歯周病は、高血糖リスクと強く関連する
  • 虫歯・歯周病がある方は内科での検査を受けましょう

歯と全身の健康は深くつながっています。歯周病の治療・予防は、糖尿病管理と切り離せない時代になっています。歯科と内科・糖尿病専門医が連携することで、より多くの患者さんの健康を守ることができます。

当院では糖尿病検査・治療については即日検査・結果説明が可能です。管理栄養士による食事栄養指導も可能です。ご不安がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。

参考文献: Ide M, Mainas G, et al. “Association between HbA1c chairside values and periodontitis.” Journal of Clinical Periodontology. 2026 Feb. PMID: 41690446. DOI: 10.1016/S0300-5712(26)02368-X

※本記事は医療情報の提供を目的としており、診断・治療を行うものではありません。気になる症状がある場合は、医療機関を受診してください。

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