睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群は気道の閉塞などが原因で睡眠中に何度も呼吸が止まった状態(無呼吸)や止まりかける状態(低呼吸)が繰り返される病気です。睡眠時無呼吸症候群では眠っている間に断続的に呼吸が止まり、良質な睡眠が妨げられます。また、体内に取り込まれる酸素量が減少しますので強いストレスがかかり心臓・血管系にも強い負荷がかかります。生活習慣病(高血圧症・心臓病・糖尿病・脳卒中など)、うつ病、認知症などの原因の一つであり、疲れが取れなくなったり居眠り運転から交通事故も増えることが報告されています。口呼吸から虫歯が増えたり気道感染症が増えることもあります。適切な検査とそれぞれの患者様に応じた治療が必要です。
睡眠中に弛緩した上気道の筋肉と脂肪により空気の通り道が閉塞して起きる①閉塞性睡眠時無呼吸症候群と、脳からの呼吸指示の異常により起きる②中枢性睡眠時無呼吸症候群、両者の混合した③混合型の3種類があります。8割以上が閉塞性睡眠時無呼吸症候群で肥満やライフスタイル(過度な飲酒など)、ストレス、解剖学的問題(扁桃腫大、鼻腔閉塞など)と関連していると言われています。一方、中枢性睡眠時無呼吸は心不全との関係が知られています。心不全の代償反応であるとも考えられますが、無呼吸を放置することで交感神経が賦活化しさらに心不全の状態が悪くなる負のスパイラルになってしまうこともあります。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)は男性が女性より4倍多く、BMI[body mass index] > 30の方はBMI<30の方と比較し約7倍も有病率が高いことがわかっています。
自宅にて機械を装着し検査を行います。検査キットが郵送され自宅で検査が完結できます。入院して検査をする必要はありません。無呼吸低呼吸指数(AHI)という数値から睡眠時無呼吸症候群の重症度を診断し治療方法を検討します。
CPAP療法は中等度から重症度に有効な治療法です。睡眠中に鼻に装着したマスクから空気を送り込み、気道を開存させて治療します。睡眠中の無呼吸・いびきが減少し、眠気の改善や血圧を下げる効果も期待できます。現在最も多く行われている標準治療です。
マウスピース療法は軽症の睡眠時無呼吸症候群に適した治療法です。睡眠時にマウスピース(スリープスプリント)を装着し、下あごを前方に出すように固定することで、上気道を広く保ち、無呼吸やいびきの発生を防ぎます。歯科医院での作成となりますのでご希望の医療機関へ紹介状を作成いたします。
生活習慣の改善や減量によりいびきや無呼吸が改善することがあります。
仰向けで寝ることで気道が閉塞しやすくなり無呼吸が増加する場合があります。また口呼吸になることも多く口元を抑えるテープなどが有効な場合もあります。
喫煙は血液中の酸素濃度を低下させ、睡眠中の無呼吸にも悪影響を与えることがあります。
飲酒は筋肉を弛緩させる作用がありいびきや無呼吸を悪化させることがあります。また、寝つきは良くなりますが、睡眠の質を悪化させてしまう作用があります。
医療コラム「いびき・睡眠時無呼吸と心臓・血管の病気」でも書いている通り睡眠時無呼吸症候群は致死率の高い多くの循環器疾患と密接に関係しています。
どうぞお気軽にご相談下さい。